• Akiko Momose

子供にとって一番の害悪は親が自分を偽ること

子供にとって一番の害悪は、親が自分を偽ることです。


多くの親は自分が自分を偽っているとは知りません。無意識のうちにまったく自覚がないまま自分を偽り、それがバレていないと思って暮らしています。


ですが、自分を偽っている親の本心は、確実に子供に伝わっているのです。


愛情が枯れ果てた伴侶でも経済的理由から一緒にいるだけだったり、本当は嫌な仕事でもお金のためだけに我慢して働いていれば、その本心は必ず子供に伝わります。


本当は別れたいのに「子供のため」に結婚生活を続けている親の本心は、潜在意識では子供に伝わっています。「二親揃っている方が子供は幸せ」という表面的な価値観がどこから来たのかわかりませんが、「夫婦」や「家族」の体裁だけを整えても、実態が伴わない仮面夫婦なら、子供に伝わるのは繋がりではなくて断絶なのです。


破綻した夫婦関係を偽ることなく真正面から認め、離婚して新たな人生を始めた方が、子供の精神衛生にとってはよっぽど好ましいのです。


親の自己欺瞞による害悪


例えば、自分の子供を好きになれない親は沢山います。自然界を見れば、一定の割合で、生まれて来た我が子を育てることを拒否する(ニグレクトする)動物の親が存在します。


理由などはありません。生まれて来た我が子に愛情を感じないので、育てることを拒否するだけです。


親に捨てられた子供たちは、その他の動物が面倒をみるなりなんなり、結果良いようになっていくものです。そのことに対して、動物は罪悪感を覚えたり、「どうして私は我が子を愛せないのだろう」などと、自問自答して自責したりしません。それが自然界です。


そういうことをするのは、人間(エゴ)だけなのです。


エゴはすべてのことを「善悪」「良し悪し」「正しい間違い」で判断してジャッジしています。


私は生まれたときから生卵が大嫌いで絶対に食べませんが、そのことについて「なぜだろう?」とか「生卵を食べられない自分は日本人失格」などと思ったりはしません。「好きにならなければ」と努力したりもしません。嫌いだから嫌い。ただそれだけです。なので、他の人の好き嫌いも受け入れることができます。


それと同じように、自分の子供を可愛いと思えない親がいることも、普通にあり得ることだと私は思っています。


「自分の子供を愛せない、可愛いと思えない」ことを認めようとせず、「自分はそんな人間ではない、そうであってはならない」と自分を偽って、「愛しているフリ」をして生きることが、子供に壊滅的なダメージを与えるのです。


子供は「愛しているフリ」をしている親が口先だけで言っていることと、内心伝わってくる「お前が嫌い」という暗黙のメッセージがズレているので、その不快感を嫌というほど感じ取ります。親の本心と表面で取り繕っているものが一致していないので、子供は現実を認識する能力を著しく阻害されます。そして、「そういう感じ方をする自分がおかしいのだ」と自己否定に走り、自分を愛することができない大人へと成長するのです。


エゴの自己防衛による事実誤認


このように自分の本心を偽って、自分の一部を自分から切り離して乖離させている分裂傾向が激しい親は、「私は子供から嫌われている」という風に事実を誤認します。


本当は子供を嫌っているのは自分なのだけれど、「そうであってはならない」と思っているので決して認めようとせず、「子供が私を嫌いなのだ」と誤認識することで、自分を痛みから守りながら何とか局面を乗り切ろうとするのです。


無意識のうちにこうしたことが行われていますが、それを自覚できる人はいません。


本当は自分が子供を嫌いで、子供はその嫌悪感を否応なく感じとりますから、そういう波動を送ってくる親のことを本当に嫌いになります。そして、「子供が私を嫌っている」という妄想が現実のものとなるのです。


こうした人が治癒を目指すのは簡単なことではありません。プロの心理セラピストや精神科医のサポートを得ながら、長い時間セラピーをこなす必要があります。


こうした人は性格障害を抱えていることも多く、忍耐強く治療に付き合ってくれるセラピストを見つけられるかどうかが分かれ目です。多くの場合では匙を投げられてしまいます。


本人の中に、「生まれ変わる」本物の決意があれば敵意や依存や甘えをコントロールできる可能性はありますが、自覚に乏しく、「救ってもらいたい」と思っているうちは見込みがほとんどないのが実情です。


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