- Akiko Momose
各国の移民政策について
「移民問題」について、時々考えます。
過去数年間、私自身が直面して考えたこともありましたし、それでなくても、20年以上前から、私は自分自身の問題として移民を考えて来ました。
20代の頃はアメリカのグリーンカードを取得しようとしていました。アメリカでは4年半を過ごし、いずれは正式にグリーンカードを取得して、永住したいと思った時期があったのです。
ですが、25歳のときにアメリカ以外の国を渡り歩き始め、欧州や東南アジアで暮らした経験から、アメリカには暮らしたくないと思うようになり、グリーンカードの申請をやめました。
現在は香港の永住権を保有していますが、過去5年間の間に、イギリス、オーストラリア、インドネシアの移民状況について、私なりに調べて来ました。
結果は大変厳しいもので、今、どの国も「移民規制」の方向へ動いているため、新規ビザの取得はおろか、申請すらも難しくなっている現実を目の当たりにしてきました。イギリスからはけんもほろろにビザの申請を断られています。
各国のビザの申請が厳しくなっている現状は、移住を望む私にとって、厳しいものには違いありません。ですが、基本的に私は、移民の問題はその国の独自の判断に任せるべきものという考えです。自分が移住できないのは残念ではあるけれど、その国の主義は尊重したいと思っているのです。
アメリカの移民規制問題や、その他の国の移民規制問題がありますが、こと移民の問題に関して、当事国のやり方や決定に、他国が口を挟むものではないと考えています。
喩えていうのであれば、私が「自分の家」の中に誰を招き入れるのかは、完全に私の選択です。私の家に入りたいという人を、すべてウェルカムで招き入れるわけはありません。たとえ相手が何かしらに困窮した人であっても、自分の家の中へ入れるかどうかについては、慎重に判断するのです。見ず知らずの赤の他人を家の中へ招き入れて、「寝起きしても良いですよ」とは、言わない。
移民てそれにすごく似ているんです。
私の家の中に誰を招き入れて誰は入れないのか、この決定において、私は他者からとやかく口出しされたくありません。私には私なりの考えがあるので、それを100%尊重してもらいたいのです。
それと同じように、私は、各国には各国の考えとやり方があると考えています。そしてそれは100%尊重される必要があると思っています。
こういう問題に関し、他者や他国がとやかく口出しをする権利がもともとないと思う。それは人種差別とかそういうこととは関係ないことで、すべてを人種差別問題にしてしまう方に、カルマ的な問題があると、私は思っています。
「沈みかかった船に乗っている人たちがいれば、助けるのが当たり前だろう」
と仰った人がいましたが、私は、「それも時と場合による」と考えています。
当たり前のことですが、自分が出来る範囲のことしかできないのです。そしてその線引きや決定権は、100%自分の手の中にある。
「沈みかかった船」に乗っている人たちは、確かに気の毒だとは思います。でも、自分には何が出来て何が出来ないのかを明らかにし、「出来ることだけをする」ことは、すごく大事。それが出来ず、何でもかんでも責任を感じ、手を差し伸べてしまうのは共依存なのです。
相手には相手の運命がある。
その責任を自分が背負う必要はないのです。ここの線引きをしっかりと出来るのが健全な男性性であり、男性性が弱い人ほど、他者の運命の責任を自分が負わなければ、国が負わなければ、と言って自分にも他人にも過度な期待を抱くのです。
私は、どの国がどんな移民政策をとっていても、その方針を尊重します。
インドネシアはもともと移民を歓迎しない国で、長期滞在はなんとなくできたとしても、インドネシアに帰化したり、移民したりすることはものすごく難しい。他の国はもっと簡単に永住権が取れるのに、インドネシアは出来ない。それも結構なことだと思っています。インドネシアにはインドネシアの都合があるのだから。
私は、自分の権利や主義を100%尊重して欲しいと感じる人なので、相手や他の国の権利や主義も尊重したいと思っているのです。
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