親の介護をしたくないときどうするか

私は今までに何度も「親の介護」に関するご相談を受けてきました。親と同居している方もしていない方も、大方の人はどなたもいずれは直面する問題だと思います。


その中で、常に一定数「親の介護をしたくない」と仰る方たちに出会ってきました。そういう方たちはご自身の気持ちやあり方に苦しみ、相談にいらっしゃるのです。


「自分の親の介護」について、これが正解というものは存在していません。人により答えが違うからです。一人ひとりが自分の中に答えを見つけていかなくてはならない問題です。


そうは言っても、3D意識の「べきべき」や「ねばならない」思考に囚われて、不要な苦しみを耐えている方たちが多いと感じてきました。


そこで、この記事ではそうした方向けに「親の介護をしたくないときどうするか」について書いていきます。


話をわかりやすくするために、40代のAさんという架空の人物の事例に沿って書いていきます(フィクションです)。


自分の本音を絶対に否定しないこと


まずはこれが鉄則です。


「親の介護をしたくない」「介護したいと思えない」


こういう気持ちがAさんの中にあれば、それが本心なのです。まずは自分の本心を100%認めて受け止めることが必要です。


その際に、「親孝行しない自分は人間としておかしい」とか、「罰当たり者」とか、「たとえどんな親であっても生んでくれたのだから、介護するべき」というような一般的な道徳観や社会的な規範意識は、すべて手放す必要があります。


世間がどう思うかは関係ありません。Aさんが40余年に渡り両親との間に抱え続けた闘争や苦悩の内容は、Aさんにしかわからないからです。幼少期より今に至るまで、両者の間に何があったのか、他者や世間は何も知らないのです。そんな人たちの言うことに耳を傾ける必要はないと心得ましょう。


自分自身としっかりと対話して自分を理解する


「親の介護をしたくない」と思うに至った背景には、必ずそれなりの理由があります。まずはその理由を自分自身に聞いあげましょう。


決して否定することなく、全面的に受け止めてあげる必要があります。自分自身の本心を自分が深く理解することで、罪悪感やいたたまれなさを手放せるようになっていきます。


親の言うことを信じないこと


親の状態や介護に一切の関心を示さないAさんに、親は様々な圧力をかけてきます。


「年老いた親を見殺しにして平気なのか?」「お前はもっと優しい子のはず」など、ありとあらゆるマニピュレーション(心理操作)を仕掛けてきます。


Aさんは「優しい人間」です。


お年寄りが横断歩道を渡れずにまごついていれば手を差し伸べて一緒に歩きますし、スーパーで重い荷物を持てずに困っている女性の荷物を運ぶのを手伝ってあげます。「それが正しいことだから」しているのではなく、自然と「手を貸してあげよう」という気持ちになるのです。Aさんは、優しい心を持った人だから、他者の痛みを分かち合うことができるのです。


ただ、「親の介護はしたいと思えない」だけ。


「あなたはもっと優しい人だと思っていたのに」という人がいれば、それは「私に対して優しくして欲しかった」という意味であり、Aさん自身が「優しくない人間」とか「優しさや思いやりを持たない人間」という意味ではないのです。


「親の介護をしたいと思わない自分は優しさのない人間なのか?」と自己否定に走る必要は全くありません。親が仕掛ける心理操作にハマることなく、ものごとの妥当性をしっかりと吟味できるだけの理性を持つことが大切です。


自分を赦す


以上のことができたら、「親の介護をしたいと思えない」自分を赦しましょう。


AさんにはAさんの理由と事情があるのです。他の誰がわかってくれなくても、Aさん自身とAさんの心がそのことを知っています。自分自身は「すべて」を目撃してきたのです。


心を強く持って、罪の意識や「べきべき」思考を手放していきましょう。


現実的に物理的な距離を置く


親と物理的な距離を置くことを真剣に考えましょう。同居していれば同居を解消したり、一緒に住んでいなくても、実家を訪れるのを止めたりするのです。必要であれば、着信拒否や連絡先の変更も行います。


その際に、自分の気持ちを相手に伝えたり、周囲に説明する局面があるかもしれません。そうしたときに、批判されたり、責められたりするかもしれません。


相手に自分の気持ちを伝えたり、周囲に説明するのは、相手にわかってもらうためではありません。ただ、「自分は介護しない」という事実を通達することが目的です。それをすることによって、今後付きまとわれたり、連絡攻めに遭う被害を回避できるからです。


相手や他者にわかってもらおうと躍起になったりせず、「分かり合いたい」という期待や執着を手放し、「自分を生きる」決意だけを固めましょう。


もしも埒が明かないようであれば、何も言わずに実行する選択肢もあります。「人としてどうか」ではなく、「できるだけ自分に心的ストレスがかからない方法」「自分を守る方法」を見つけて実行しましょう。


もう今まで十分すぎるほど親のために自分と人生を犠牲にしてきました。これ以上自分を痛めつける選択をするのは止めることです。


自分を生きる


上に書いたすべてのプロセスを経たら、最後はひたすら自分を生きてください。


必要であれば「癒しの5つのステージ」の記事も参考にして、自分自身の癒しと自己実現に取り組み、完全に自分の人生を生きることに集中するのです。


親へ対する赦しはいずれ時がくればやってきます。何の心配もせず、自由に自分だけの道を行きましょう。


最初は寂しく孤独を感じるかもしれません。それでも、一生を怒り、フラストレーション、苛立ち、恨み、罪、恥といったエネルギーの中で過ごすより、何百倍も健全なのです。自分を大切にし、自分の時間とエネルギーを自分のために使って生きましょう。


この記事が、「親の介護の問題」に苦しむ方の参考になりましたら幸いです。


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